日本を代表する巨大企業トヨタ自動車、この企業もかつては倒産寸前の状態であり、大規模なリストラを行った過去があります。
そんな状況を打破し、巨大な企業グループを作り出した男が豊田自動車の三代目社長で筆者の石田退三です。
同氏が語る経営についてまとめていきましょう。
トヨタも倒産の危機があった
戦後直後、トヨタは倒産の危機にありました。
工場は戦火で深刻なダメージを受け、日本軍向けのトラックの生産もなくなり、社員だけを抱えた状態だったのです。
そんな経営責任を取り、二代目社長で創業者でもあった豊田喜一郎が退職し、同社の番頭的立場にあった筆者の石田退三氏が社長に就任、トヨタ最大の危機を耐えることになりました。
ここから石田退三は様々な策をとり、社員たちと協力してトヨタを現在の巨大グループに育て上げたのです。
石田退三の名言について
トヨタのポジティブな面、ネガティブな面を両方感じ取れる名言が多くあります。
具体的な言い回しは、やや古い言葉なので意訳として挙げていきましょう。
ポジティブなものとしては、お金がある時ほど余裕が出て良いアイデアが出るということや、とにかく質素にすることがビジネスのポイントであること、お金が余ったら設備に投資するということです。
ネガティブなこととしてはお金に、がめつく行くべきということや、成功したことはどんどん吹聴して回れということがあります。
ちょっとこれはどうなの、というような名言もあります。
しかし、トヨタのような巨大組織を生み出し、まとめ上げるにはある程度の清濁併せ呑むような人物でなければいけないということが分かる本です。
実際に本人が書いたのではなく、本人が著したという名目で出版社がインタビューなどを元にして書いているので、多少脚色されている部分もあるかもしれません。
しかし、トヨタのピンチを支えた男の強いメッセージが滲み出ています。
トヨタの一番つらい時期を一身に背負い、労働争議や行政との交渉、そしてトラック販売の会社から本格的な乗用車メーカーに成長させた石田退三氏は、商社に勤めて中国でそのスケールの大きさを体験し、近江商人のビジネスのポイントを身をもって叩き込まれた人物です。
このような、当時でもユニークな経歴を持つ人物が、トヨタを大きく成長させたといっても過言ではありません。様々な言葉を残した先人から現代に通じる様々なポイントを学ぶことができるのではないでしょうか。